vol.25 武豊みなみ道院 道院長 間瀬美香

2012/11/26

「子育て=人育て」そして自分育て、指導者になって自分を輝かせよう
武豊みなみ道院 道院長 間瀬美香

大導師・大拳士五段、398期生。1963年10月、名古屋市生まれの広島育ち。82年、広島県北陽高等学校卒業、中京女子大学短期大学部体育学科入学。 同時に少林寺拳法に入部。90年。卒業後は小坂井支部道場(現・道院)に転籍。2000年2月、武豊みなみ道院設立、現在に至る。副道院長と二人の娘が幹 部という、女性が主力の道院です。

武豊みなみ道院 道院長 間瀬美香

 道院長になろうと思ったきっかけは?
お恥ずかしい話ですが、まさしく少林寺拳法を「餌」にして子どもと関わりたいという容易な考えだけで、これと言った計画もなく指導者としての立場も考えていない状態で始めてしまいました。

「子どもが大好き!」という娘二人を持つ普通の母親が、保育園のママ友からの「うちの子にも少林寺拳法を教えて!」という提案に、「10人くらい集まったらね」と軽い返事をしたことから道院を始めることになりました。30人以上が集まるまで師匠や周りの人に相談しながら話を進めました。開設にあたってさまざまな障害がありましたが、新設許可を得る頃には50人程度が集まり、後から「道院長」として自覚せざるを得なくなったというのが実状です。しかし、後からとはいえ、目の前の子どもたちのために「やるしかない!」と思い、今は母親以上に道院長として子どもたちを守りたいと思っています。
 

aun_genki_vol10_02道院での指導方法の工夫を教えてください。
少林寺拳法の技術的なことの指導よりも、子どもばかりの道院ですので「子育て」を考え日々奮闘している中に方針があるように思います。

帯が自分で上手に結べるようになったことから、大きな声で自分から挨拶ができるようになる。「大きな声で返事ができる」、こんな小さなことでも積み重ねがとても大切で、その変化に気付き、大げさなくらい感心して褒めます。その声は気合となり、技につながり、自信になると思っています。そのために、その子の成長に目を向けて気付き、褒めて、自信をつけさせてあげる、といった親の役目をする道院長がいてもいいのではないかと思っています。時には怒るし、悲しい顔で伝える言葉も効き目があったり、親も道院長も試行錯誤して成長していると思います。

料理と同じで甘いものばかりではカロリー過多になります。酸いも甘いも苦いも辛いも、いろいろ混ぜながらバランスをとることが大切だと思います。

日々変わる子どもを見つめる目を養い、子どもとともに大人も育っている道院です。
 

道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
道院を設立し、3歳児~小学5年生までの子どもばかり50人近くいた当時の状況は、貧乏子だくさんではないですが、「トイレ~」から始まり、帯の世話にケンカや泣き虫っ子の対応と、大人が私一人ではとても追いつかず、学年の上の子が下の子の面倒を見ると言う体制が必然でした。これはこれでよい経験がさせてあげられますが、人数が多く対応しきれていない現状がありました。そこで出会う一人のママ友が、その後私をずっと支えてくれる大切な人となりました。当時、小学5年生だった息子と一緒に入門してくださった方です。現在、四段を取得し、副道院長として年下の私をうまく立てて縁の下の力持ちとなってくれています。この方との出会いがなければ、12年も道院を続けてこれなかったと心から思っています。私の成長も願ってくれ、未熟な部分も受け止めフォローしてくれる彼女との出会いが私にとって最高の出会いです。
 
aun_genki_vol10_03道院長として今後挑戦したいことや夢はありますか?
大好きな子供たちをもっと増やしたいことです。現在の社会情勢といえるようですが、入門する子どもの数が減り、塾などの習い事に傾いているのか、在籍少年部が年々減ってきています。初めは小さかった子供たちは確実に成長し、高校・大学・社会人となりました。片腕どころか千手観音となってくれそうな助けてくれる幹部が育っている中、子どもが減っているのはあまりにももったいなく感じています。皆を生かす為にも少年部を増やして昔の騒々しさを取り戻したいです。そして、家の事情や学校などの理由で去るしかなかった子がいつでも戻って来れるよう、復帰する子を受け止めるためにも、これからも待ち続けるのが今後の夢です。
 

aun_genki_vol10_04間瀬美香 最後に、将来指導者を目指す全国の拳士にエールをお願いします。
開祖の言われた「青少年育成」は大きく手は届かなくとも、「子育て=人育て」、そして自分育ての為には餌をたくさんまいて広げないともったいないです。少林寺拳法で身に付けた自信はその人にとってとても大切な糧になるはずです。一人ひとりの心に自信を与え、自信から勇気が生まれ、行動できる、そうした力を与えてあげられる少林寺拳法の指導者になって自分を輝かせてください。