vol.35 京都春日道院 道院長 山本進

2014/07/05

道院はみんなが帰ってこれる場所、初めから諦めず、まずは行動しよう!
京都春日道院 道院長 山本進

大導師・准範士六段、324期。1969年5月、京都市生まれ。76年、京都春日道院に入門。98年、道院長となり、現在に至る。京都府教区副教区長、京都府少林寺拳法連盟理事、武道専門コース京都地区代表教務なども務める。

京都春日道院 道院長 山本進

aun_genki_vol20_02道院長になろうと思ったきっかけは?
京 都春日道院は、故・山本喜一郎初代道院長(私の父)が1974年に設立した道院です。その道院に、私は6歳で入門しました。高校受験準備等で一時は少林寺 拳法から離れ休眠し、社会人になりますます道院へも足が遠のいていたところ、1992年、父の身体に癌が見つかり、余命半年と医師から宣告されました。

癌 が見つかってから父は入退院を繰り返し、修練に顔を出せない状況になってしまいました。道院長不在が続くようになり、代務者を立て幹部の方々が指導にあ たっていましたが、なかなか少年部の修練開始時間には間に合わず、少拳士二段の私が助士として、少年部指導担当を任せられお手伝いをしていました。

1994 年6月、父が癌で死去。正直なところ、私は京都春日道院の存続を全く考えていませんでした。しかし、当時の少年部の保護者の方々から、息子である私に道院 を続けてほしいという声をいただき、また父の師匠である牧野清西陣道院道院長の後押しもあって、道院長になることを決意しました。

道院での指導方針・方法の工夫を教えてください。aun_genki_vol20_03
私が指導のすべてを仕切るのではなく、拳士に任せる体制づくりを心掛けています。例えば少年部の稽古時間であれば、基準(号令)係や準備運動係を、少年部拳士内で当番制をつくり、小学校高学年の少年部班長が当番の拳士をサポートします。技術指導についても、1級上の拳士が下の面倒をみるという形で行っています。

京都春日道院では指導の際に「知っている・できる・理解させる」を説明して実践しています。
 知っている…技の名前は知っているが、上手に技ができない。
 できる…上手に技はできるが、その技の説明を第三者にうまく伝えることができない。
 理解させる…自ら上手にできる技のポイント等を説明して、第三者を納得させられる。
この3つの条件が全て満たされたとき、その技を会得したと思いなさい、と言っています。

 

道院長になって出会った感動エピソードをお聞かせください。aun_genki_vol20_04
少年部から一般部の先輩まで、年齢を問わずいろいろな話ができ、また腹を割って相談し合える仲間、同志がいつもそばにいてくれることに、感謝する日々です。

専有道場がなかなか見つからず、半ばヤケクソで自宅を新築して一階を道場スペースにした際、建築を依頼したのも拳士、仮住まいを提供してくれたのもOB拳士、といったように、少林寺拳法関係者の方々にたくさん助けていただきました。

専有道場にしてから、10年も道院から離れていた拳士が復帰してきました。当時、少年部だった拳士ですが大学生になっており、復帰の際、「道院長、よく僕たちに話していましたよね。いつでも帰ってきて、お帰りって言える道場をいつか建てて、みんなの帰る場所をつくりたいって」と言ってくれました。私も忘れていたようなことを覚えていてくれたことに感動し、うれしくなりました。aun_genki_vol20_05

 

道院長として今後挑戦したいことや夢はありますか?
現在、24畳ほどの専有道場を、もう少し増築して広くしたいです。拳士みんながのびのびと修練できるスペースの確保が目標です。

 

最後に、将来道院長を目指す全国の拳士にエールをお願いします。
初めから諦めず、まずは行動しよう! 人間死ぬまでは生きています! 恐れず初めの一歩を!aun_genki_vol20_06