vol.37  愛知今伊勢道院 道院長 江藤康二

2014/11/26

もっと親子で少林寺拳法を! 家族で金剛禅を共有してほしい
愛知今伊勢道院 道院長 江藤康二

大導師・大拳士、五段、423期。1966年1月、愛知県一宮市生まれ。大学を卒業後、愛知県小中学校事務職として入職。現在、一宮市立神山小学校主査。 学校経営に携わる傍ら、子供たちの学びを支援する学校マネジメントの共同研究や労働組合の役員を務めるなど、金剛禅の教義を根底に精力的に活動している。 禅林学園武道研究院在学中。2007年5月、愛知今伊勢道院を設立、現在に至る。

愛知今伊勢道院 道院長 江藤康二

aun_genki_vol22_02道院長になろうと思ったきっかけは?
長女、長男と一緒に道院に通うようになり、徐々に少年部の指導に関わることが増えていきました。少年部で過ごす時間は、人に教えること、伝えること、責任、仲間同士の絆、誰もが持っている無限の可能性、まっすぐに向き合うこと……いろいろなことを彼等から教えてもらいました。不思議だったのは、忙しく仕事を終えて修練に行っても、修練が終わった後は、心穏やかで不思議と元気になっている。きっと私の方が子どもたちからパワーをもらっていたのだと思います。大人拳士と修練するのとはまた違う充足感がありました。

彼等のためにも、もっと自分のできることに向き合っていきたい。いま私が道院長であるのは、たくさんの子供たちが背中を押してくれたからだと思います。
 

aun_genki_vol22_03道院での指導方針・方法の工夫を教えてください。
道院長になってから、スポーツ指導者の資格を取りました。少年部の指導では、心と身体の発育発達状態に応じた基本を行うように努めています。長期的視野に立って、少林寺拳法独自の身体の使い方だけでなく、神経系や身体能力をバランスよく発達させるための体幹動作や遊び的な要素を取り入れた運動も加えています。90分の時間のうち、ほぼ半分を基本動作に充てていますが、反復して体に覚え込ませる稽古、パターンをいろいろ用意して体幹を鍛える稽古など、無理なく楽しく基本動作が身に着けられるような指導を心掛けています。

心の成長には、やはり法話が大切です。身体を動かした後に、着座調息させながら法話をすると、話がスッと入っていくのか、うなずきながら話を聞く子が多いですね。
 

aun_genki_vol22_04道院長になって出会った感動エピソードをお聞かせください。
門下生が自発的に何かに取り組む姿を見られた時が一番嬉しいですね。「先生、次の休みに演武の稽古みてください」「この間、生徒会に立候補したんです」「夏休みにホームステイに行ってきます」。自分で考えて決めた事に挑戦する姿を頼もしく思います。うちもようやく、社会人として仕事に就く拳士が出てきました。彼等の様子を見聞きするたびに、頑張れと心の中で応援しています。

また、志を高く持ち、いろいろなことに果敢に挑戦していらっしゃる道院長の先生方を身近に感じることができるのは道院長ならではの良さですね。良い刺激をいただきながら、自分のできること、すべきことをしていきたいと思っています。
 

aun_genki_vol22_05道院長として今後挑戦したいことや夢はありますか?
私の道院長としての原点は、自分の子どもたちと一緒に少林寺拳法を楽しみながら修行ができた、かけがえのない時間があったことだと思っています。私には3人の子供がいますが、それぞれに親子演武を楽しむことができました。中でも2012年に開催された全国大会オープニング家族大会で行った親子4人での演武と2013年の国際大会での親子演武はいい思い出です。

ですから、私はもっと親子で少林寺拳法を楽しんでもらえる方々が増えたらいいなと思っています。そのための環境づくりが今後の目標です。世の中が少子化に向かう中で、金剛禅の教えを家族で共有することの意義はとても大きいと思います。
 

aun_genki_vol22_06最後に、将来道院長を目指す全国の拳士にエールをお願いします。
禅に「百尺竿頭に一歩を進む」という言葉があります。修行に終わりはありません。人生には常に次があるのです。歩みを止めず、次の一歩を踏み出すことが大切だと思います。その一歩も自分一人だけのために考えあぐねていては、前には進めません。自分自身を見つめ、人と触れ合い、互いを認め合いながら、今を一生懸命生きることが大切だと思います。半ばは自己を、半ばは他人を。道院長として、共に金剛禅運動の布教、展開に邁進してまいりましょう。