vol.41 東海加木屋道院 道院長 秋葉みどり

2015/06/30

成長を見続け思いを伝えられる喜び、道院長になってよかった
東海加木屋道院 道院長 秋葉みどり

中導師・大拳士、五段、434期。1965年11月、愛知県名古屋市生まれ。84年、愛知大学Ⅱ部少林寺拳法部へ入部。1年程で休眠。97年、石ヶ瀬道院(佐々木潔道院長)のもとに長男が入門、翌98年、次男(当時3歳)の入門にあわせ、大学少林寺拳法部の先輩でもある夫と共に復帰。2008年12月、東海加木屋道院設立、現在に至る。夫、長男(24歳)、次男(20歳、大学少林寺拳法部と兼籍)は東海加木屋道院に所属し、道院運営を支えている。愛知県少林寺拳法連盟事務局長。2009年より人権擁護委員、2012年より生活協同組合コープあいち非常勤理事、2013年より東海市教育委員を務める。

東海加木屋道院 道院長 秋葉みどり

道院長になろうと思ったきっかけは?
今考えると、2001年に(当時)東海武専に入学したことがきっかけになったと思います。道院での修行を楽しみ満足していた私に、佐々木潔石ヶ瀬道院道院長が「武専というのは技を学びに行くだけの場ではなく、横とのつながりを得、それを広げていく場。そして多くの先生方の言葉を聴き見識を広げ、技においても様々なかけ方や解釈を学び、共に研究する場」と、武専に通うことを勧めてくださいました。先生の言葉の通り、武専の11年間で「心友」といえる大切で素敵な同志を多く得ることができました。

また、2004年に愛知で行われた全国大会では、一拳士ではありましたがアトラクション担当として深く関わらせていただき、多くの素晴らしい先生方と出会い、その生き方に大きな影響を受けました。林正義愛知蟹江道院道院長(愛知県教区長)は、私が道院設立など何も考えていない時から「いつ道院長になるんだ?」と会う度に声を掛けてくださり、また佐竹令子小坂井道院道院長(愛知県少林寺拳法連盟副理事長)も笑顔で「早くこっちにこりん」といつも声をかけてくださいました。その後、地域や保護者などからの要請があり、道院を設立するかどうかで悩んでいた時には、多月文博春日井鷹来道院道院長(愛知県少林寺拳法連盟理事長)や田村明先生(当時、宗務局長)が、強く背中を押し叱咤激励してくれました。

私にとって先生方との出会いや受けた影響はとても大きなもので、今の道院長としての立場があるのは、そんな先生方の姿や言葉があったからこそと思っています。心から感謝しています。

道院での指導方針・方法の工夫を教えてください。
aun_genki_vol26_02まだまだ道院長歴が浅く指導方針と言えるほどのものはありませんが、拳士たちには厳しく楽しく修行に取り組んでもらいたいと思っています。当道院はとても元気で活発な少年拳士が多くを占めますが、準備運動の中では毎回、ソフトバレーボールを使ってドッジボールを行っています。高学年の子どもたちはそれなりに年齢や技量に配慮し小さい子を思いやりながら、皆で厳しく激しくボールを投げ合っています。5分位の短い時間ではありますが、その時間をとても楽しみにしているようです。最初はおっかなびっくりだった子どもたちが、段々と上手になっていく様子には目を見張るものがあります。

また、中学生以下の拳士は組演武で大会に参加することを基本としています。出場を目的に真剣に共に稽古する中で、相手への思いやりが育まれ、技術の積極的な向上にもつながっていると感じています。目的に向けて取り組む日々の中での成長や得られるものは、とても大きいと思っています。

aun_genki_vol26_03修練の最後には可能な限り、その日の取り組みを皆の前で発表する時間を持つようにしています。演武や覚えた技の披露、入門したばかりの拳士も振子突や振子蹴などを行い、保護者の方々もその時間を楽しみの様子で、中にはスマホで映されている方もいらっしゃいます。また、幹部拳士や中高生が一部指導にあたってくれておりとても感謝しています。修練最後の発表時は、拳士の成長の姿を確認できる貴重な時間です。

鎮魂行の主座を務めることが大好きな子どもたちも多く、彼らに主座をやってもらうことも度々あります。小さな拳士が堂々と主座を務めている様子は、可愛くもあり頼もしくもあります。また「鎮魂行の後の先生の話(法話)が楽しみ」と言ってくれる拳士や保護者の方々がいるのは大変ありがたいく嬉しいです。道院長としての責任の重さを痛感しています。

道院設立以来、毎月「東海加木屋通信」を発行しています。日程連絡も含め、私が日々考えていることやその時々で知らせたいことなどを、その中でお伝えしています。皆に様々な私の思いが伝わるといいなと思って続けています。

aun_genki_vol26_04道院長になってよかったことは何ですか。
大変なこともありますが、日々「道院長になって良かった」と思っています。教育委員という立場もあり、学校教育の中で「教師」が感じるであろう喜びや意義を十分理解しているつもりですが、道院長はさらに長いスパンで拳士それぞれの「人」に関わることができます。その成長過程を見続けていけることは何よりの喜びです。

毎年、春日井鷹来道院と合同で夏合宿を行っており、交流をしています。そんな中、春日井鷹来道院の女の子の拳士が「いつか秋葉先生みたいな人になりたい」と言ってくれ、とても嬉しかったです。いつも子供たちには「強くて優しい人になれ!そんな人になれるように、先生も頑張る」と言っています。まだまだ未熟な私ですが、そんな風に憧れてくれる子どもたちの前にしっかり立てる人間であるよう、今後更に努力していきたいと思います。

道院長としてこれからの夢は何ですか?
拳士たちにはいつも、「先生が道院長になったのだから、みんなも道院長になれる」と言っています。この道院から道院長が出てくれたらいいなと思います。

いつも身近にいて叱咤激励して下さる先生方は本当に素晴らしい方ばかりです。長く道院を運営し多くの拳士を育て、しっかりした幹部拳士が沢山いて道院や先生を支えている……私はまだ7年しか道院運営をしてきていないので、まずはしっかりした道院運営を地道に長く今後続けていくことが目標です。

aun_genki_vol26_05最後に、将来道院長を目指す全国の拳士にエールをお願いします。
道院長は大変か楽かと言われれば「大変なことはある」と言わざるを得ませんが、それにも増して大きな喜びを得ることができます。目をキラキラと輝かせる拳士たちと共に過ごす時間は、何よりの喜びであり、彼らから多くのエネルギーをもらっています。もしかしたら道院長であることには「アンチエイジング効果」があるかも……。一人で出来る事には限りはありますが、懸命に取り組んでいれば多くの人が支えてくれます。道院長になろうという気持ちになった時には、是非勇気と行動力を発揮して、一歩前に足を踏み出してほしいと思います。