vol.43 ときどき仲良し

2015/12/01

 私は、道院で少年部の指導を任されています。少年部の練習は、準備運動も兼ねて、最初にボール遊びと鬼ごっこをします。
 その少年部に、二人の低学年の男子拳士がいます。
 この二人は、級が違うので科目練習では別々になるのですが、一緒にやるボール遊びのときには、すぐにつかみ合いの喧けん嘩かを始めます。二人を引き離して話を聞くと、「ボールをぶつけた」とか「ぶつかってきた」とか、きっかけは些細さいなことばかりです。
 しかし、この犬猿の仲の二人ですが、じゃんけんで負けて二人が鬼ごっこの鬼になると、顔を寄せて、誰を最初に捕まえるか、小声で相談を始めるのです。そして、作戦どおり見事な連携でみんなを捕まえていきます。
 先日、私は不思議に思って二人に尋ねてみました。
 「君たちは仲がいいのか悪いのかどっちなんだ」と。すると一人がこう答えました。
 「ときどき仲良し!」
 確かにこの二人、どちらかが練習を休んだときは元気がありません。それに、以前と比べると仲良しの時間がずいぶん増えた気がします。
 二人が成長したのか少林寺拳法の修行の成果なのか分かりませんが、いずれにしても道院が、二人にとって掛けがえのない修行の場になっていることは間違いありません。
(名東道院 高田 廣司)