vol.46 仁のある暮らし

2016/06/01

 “若し人あり、仁、義、忠、孝、礼の事を尽くさざれば…”と道訓で唱えている「仁」について掘り下げてみると、「人」が二人いて最小限の社会関係が作られたとき、自分だけではない他者に対して、どのような関係を持つことが人間にとって生きていく上で大切か、人間の霊性としての働きから、相手を人として尊重すること、そして、人と人とが親しみ合う情愛、他者へのやさしさ、思いやり、寛容・柔和な心を持つことと解され、生きて行く上での原点(人間関係の基本)と考えられるようになったという。
 孔子は、ある弟子の問いに対して「仁」とは、「思いやりの心で万人を愛するとともに、利己的欲望を抑え礼儀を履行すること。ただし万人を愛するといっても、出発点は肉親への愛にある。」と、人に対してつくすことと、自分の内面について説いています。
 私は、このことからも人間関係の基本である「仁」の実践、その中から「自己確立」「自他共楽」の修行も成り立つことであり、身近な行動を振り返りながら、自分の内面について素直な心で見つめ、つい他の者の欠点などを責めてしまったり、人の言動を受け入れられなかったりする自分を戒めながら、「仁」ある暮らしを実践して行きたいと思います。
(事務局 局長 中川 英昭)