vol.47 心の中の北極星

2016/08/01

 金剛禅の『教典』の最後は、「協力一致して理想境建設に邁進(まいしん)す」で締めくくられています。理想境建設は、いわば金剛禅の究極のスローガンです。鎮魂行ではじめて唱えるときは、何となく気恥ずかしいかもしれません。
 たしかに、現実の社会を見れば、自分にとっての理想境なんてただの夢のように思えるかもしれません。仕事や人との関係、社会のあり方など、思う理想はあるけれど、なかなかそうはいかない現実の中で、それでも前向きに日々をがんばっているという方も多いでしょう。現実を変えていくことは結構しんどいことですから、つい挫(くじ)けそうにもなるでしょう。そんなとき、それでも志や 目指す理想がしっかり心の中に掲げられていることが、挫けないための力になります。
 「理想境建設」という言葉は、現実の社会をわたる私たちにとっての、いわば心の中の北極星のようなものです。いつも高いところで輝いて、道に迷いそうになったとき、進むべき方角を示してくれます。挫けそうになっても「理想境建設に邁進す」、そして、今日はさぼっても明日からまた「理想境建設に邁進す」です。
 志をともに語れるいい仲間たちと協力し合いながら、いい日々をつくっていきたいものです。
(宗務局 局長 坂下 充)