vol.51 問題を解決する人間力を養いたい

2017/04/13

中国の習近平国家主席とトランプ大統領との初の米中首脳会談の直前に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射、そして会談中にはトランプ大統領がシリア空爆を決行し世界は騒然となりました。

国連はシリアの6年に渡る内戦の終結をめざしていましたが、アサド政権によってシリア北部に化学兵器攻撃を行ったとして、首脳会談後の歓迎レセプションの最中にトランプ大統領はシリアの拠点となったとされる空軍基地に対するミサイル攻撃を実施しました。

この空爆に対し、ロシアと北朝鮮が「許されない侵略行為」だと非難する中、シンガポールを出港していたアメリカ海軍の原子力空母カール・ビンソンを始めとする誘導ミサイル駆逐艦・装備巡洋艦などを、行き先をオーストラリアから朝鮮半島に変更、横須賀を母港とする原子力空母ドナルド・レーガンも待機中とされています。

ここへ来て一気にキナ臭い状況となって来た東アジアです。集団的自衛権行使容認や、自衛隊法の改正や武器輸出・使用基準の緩和など、戦後70年歴代内閣が議論しながらも守って来た平和憲法がどんどん崩壊し、挙句に東アジアの緊張を盾に憲法改正まで当たり前のように言われる始末です。

「異質な他人とのコミュニケーションが成り立たない」「コツコツと努力して人間関係を築くより感情移入せずドライな関係を好む」「自己主張の応酬で思うようにならないと突然キレる」これらは現代人に多いといわれます。これが国家となったらどうでしょう。アメリカ・ファースト、都民ファーストと、新語のように使われる今の時代、恐ろしく感じます。外交機能が退化し、軍事力によって“正義”を主張することが日常化することへの危惧は高まるばかりです。

「二度と戦争はしてはならない」「正義の戦争なんてものはない」戦前・戦中・戦後を生きた少林寺拳法創始者・宗 道臣のその強い思いから生まれた少林寺拳法は、格闘技としてではなく出来る限り衝突する場面を回避し問題を解決する人間力を養うことを目的とし、万が一衝突したとしても相手を傷つけることなく制し、問題解決に導ける人づくりにこだわって来ました。

きれいごと、理想論、と言われるかもしれません。しかし世界で唯一の被爆国であり、戦争を放棄した平和憲法を持つ日本の人的国力がここまで落ちてくると、もう一度しっかりした理想を掲げるべきだと思うのです。_