vol.55 師と縁

2017/11/01

 大学少林寺拳法部入部から今では43歳となったいまも、現役拳士として継続していますが、振り返ってみると、人生の要所は金剛禅とつながっているなぁとつくづく感じます。
 大学時代から技の修練だけでなく、少林寺拳法の教えにはとても興味がありました。社会人になり、結婚を迎えた時も、妻との出会いは少林寺拳法でした。道院で少林寺拳法教室(全10回)を開催した際、私が指導者として接する機会があったからです。実は、妻は道場長の奥様のご友人でした。
 結婚式も金剛禅式で、鈴木道院長の厳かで温かな司婚(導師)のもと、雄蝶・雌蝶(おちょう・めちょう:挙式中の介添をする役)も、道院の先輩方に務めていただきました。少林寺拳法で知り合い、金剛禅式で結婚式を挙げ、夫婦力を合わせて幸福になることをダーマに誓う。いろんなことが繋がっている縁の力を感じました。全て法縁のおかげと感謝しております。
 授かった娘には「真理菜」と名付けました。物事の本質、宇宙の真理を理解してほしいとの願いがこめられています。また、生まれる頃は菜の花がきれいに咲く季節ですので、「菜」という字を加えました。
 鈴木道院長には仕事に取り組む姿勢においても影響を受けています。私も道院長と同じ地方公務員なのですが、物事を決めていく際は、様々な立場の方が衝突するのでなく、お互いがより良い方向に進めるようにしっかりと話し合っていく、全体の奉仕者としての在り方についてもご指導をいただきました。このように社会における姿勢から、子育てに至るまで、あらゆる場面で指導をいただいています。
 ある時、高校生拳士が格好をつけようと頭髪を染めてきたことがありました。鈴木道院長は「流行なのか?誰にしてもらっている?」と相手の気持ちをまず聞いて、数日経ってから「もう気がすんだだろ、そろそろ卒業してもいいんじゃないか?」と改めるように優しく指導されていました。本人が自ら納得して行動を変えていく、つまり「人間は変わる可能性を有する種子である」ことを信じているからこその根気強い指導だと感じ入りました。
 決して大きくはない体格の道院長ですが、だからこそ力任せではなく、大変理にかなった技術を使われます。そんな拳理やコツをふまえた指導をしていただいていることにも、非常に尊敬しています。
 良き師と縁に恵まれて、成長させていただいていることが、私の何よりの誇りです。
(酒田中部道院 今野 啓司)

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