vol.60 筑前古賀道院 道院長 山本忠生

2018/09/01

「自己確立」「自他共楽」
筑前古賀道院 道院長 山本忠生

道院名:筑前古賀道院
道院長名:山本忠生
中導師、大拳士、五段、353期
1972年2月20日生まれ 46歳
出身地:福岡県古賀市
職 業:消防士
1978年 入門
2012年 筑前古賀道院道院長 現在に至る

筑前古賀道院 道院長 山本忠生

—道院長になろうと思ったきっかけは何でしょうか
「子どものころの夢をかなえていますか?」
「夢をかなえている姿を子どもに見せていますか?」
39歳の時に聴講した講演会での言葉です。
私は、高校生の時に「世の中の、リーダーになれ」との教えから、道院長になりたいと思い公務員を目指し消防士となりました。
少林寺拳法で身に付けた正義感と丈夫な身体は消防士としては十分なもので、救急救命士の資格を取得し市民を守る仕事は天職といえるものでした。
しかし、社会の現実に直面し「消防士を続けながら道院長はできない。」と思うようになりました。それでも少林寺拳法から離れることはできず、娘と息子の3人で道場に通いながら修練を続けていました。
悶々としている中で前述の言葉を聞いた時には、頭を殴られたような衝撃をはっきりと覚えています。
「やる前から、やらない言い訳を探していた。」そう思い、道院長への決心を固めました。

—道院長になってから変わったことはありますか
 「道院長は、師家の代行者である。」ということを認識したことが私を大きく変えるきっかけになりました。特に変わったのは、鎮魂行でした。
道院長になる以前は、教典の言葉を自分の生活に置き換えて考えていましたが、道院長になってからは、教典の意味を理解し、釈尊の教えを学び少林寺拳法の本質を学び、拳士に伝えようとするようになったことです。
 道院長になって、話をする言葉が変わり、立ち居振る舞いが自然と変わりました。道院長になってから、私の本当の意味での少林寺拳法が始まったように感じます。

—道院での指導方針や、指導法としての工夫を教えてください
 道院には、それぞれに事情を持った拳士が集います。一人一人の個性がありますが、私は、まずは受け入れることから始めています。
 相手を理解し受け入れたのち、一人一人に応じた教え方をするように心がけています。心が通じ合った修練ができたと感じたとき、達成感を共有することができる。「教えることは学ぶこと」自分自身の成長につなげるようにしています。
 それでも、少林寺拳法の技術を学ぶときは繰り返しのトレーニングは欠かせません。常に真剣に目的を持った技術修練が、自分を磨くことになり、相手とともに学び成長する。毎日、新しい発見へとつながっています。

—少林寺拳法の教えを実践しているときは、どんな時ですか
 「自己確立」「自他共楽」
私たち日本は、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震を経験しました。
「平成30年7月豪雨」では、西日本を中心に大きな被害が出ており、今なお終息しておりません。
「助けられる人から助ける人へ」国民一人一人が、まずは自らの安全を確保し、その後周りの人を助ける。「自助」「共助」がうたわれています。
 消防において、防災教室、救命講習において、私は多くの住民に対して話をする機会があります。その際に、話の軸となるものは「自己確立」であり「自他共楽」の教えにあります。少林寺拳法の教えを身近に感じ社会貢献に役立てるように心がけています。

—最後に、将来、道院長を目指す全国の拳士へ、ひと言エールをお願いします
 道院長になったことで、少林寺拳法を深く学ぶことができました。
 協力してくれる家族への感謝の気持ちが深まりました。
 支えてくれる仲間との出会いがありました。
 まだまだ、これから学ぶことばかりです。
 将来、道院長を目指している拳士の皆さん「想いは叶う」応援します。一緒に学びましょう。