vol.61 愛民・愛郷の意味

2018/08/01

この度の西日本地域に発生した、豪雨災害で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興に向け、少林寺拳法グループも出来ることから支援して参ります。

   昨今、これまで体験したことのない異常気象により、 熱帯のスコールのような「ゲリラ豪雨」と呼ばれる大雨による水害も多くなりました

  2016年に発生した鬼怒川の堤防決壊による茨城県常総市の災害に続き、今回の広島•岡山•愛媛を襲った広範囲な災害。おまけに生命の危険といわれる猛暑で、この7月は一週間に23000人が救急搬送されるという状態です。

   そして、環太平洋火山帯が活動期に入り、日本では1995年の阪神淡路大震災、2004年新潟県中越地震、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、そして今年4月の島根県西部地震、6月には大阪府北部地震と大きな被害が連続しています。震度3~4強の地震に至っては、毎日国内の何処かで起こっているといってもいいでしょう。

   これだけ災害の多い今の日本で、「人間の学習能力」とそこから生まれる先をイメージする力が危機に瀕していると思います。モノに頼りすぎ、実感のないバーチャルな世界で生きてしまっているのかもしれません。

   もう一つ、先祖代々から様々なことが言い伝えられて来たはずが、核家族化や家族間のコミュニケーションの変化により、どこかで寸断されていることも一因かもしれません。

   今回の西日本豪雨災害の報道の中で、90歳の男性がインタビュー(※下記参照)を受け答えていた内容が衝撃的でした。

   「50年前当時の建設省時代から、ずっと陳情に行っている。どこに行っても何も始まらない。これは人災だ」と。

   地震に関しては、様々予測や備えをいいますが、古くから住み続けている人がいる場合は、過去の経験からハザードマップを元に日頃から学習会や避難訓練などしていたりして人的被害が少なく、造成地や他地域から人々が集まった地域などは、過去を知らずハザードマップも見ず何もしていなかったりして人的被害が大きくなったという現実もあります。

   国や行政の危機管理対策問題と、個々人の防災対策意識の両面を早急に見直すべきだと思います。

   ちょうど一年ほど前、北朝鮮からミサイルがいつ飛んでくるか分からないという理由で陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」1基1000億を2基配備すると言われていましたが、ここに来て2基4000億と高騰しているようです。 東アジアの緊張緩和の方向ではなく、一般人には想像も出来ないほどの巨額な血税が「国防」という言葉を盾に当たり前のように湯水のように使われてゆきます。

   これだけの費用を震災の被災地の復興に当てていれば、もうとっくに通常の生活に戻れていたでしょうし、早めの河川対策に当てていれば助かった命がどれだけあったでしょう。

   西日本豪雨の最中に行われたとして問題になった「赤坂自民亭」。時期的な問題から問われる危機管理意識もさることながら、国民の命より選挙が優先されるという本当の先進国にはなれない日本の姿が見えてきます。

   少林寺拳法創始者 宗道臣は、「愛国心」とは言わず「愛民•愛郷」と言いました。同じように見えて違うこの言葉の意味を、今痛感しています。

 

※…関連ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180716-00010002-fnnprimev-soci&p=3
https://toyokeizai.net/articles/-/229270
https://jp.reuters.com/article/weather-japan-failures-insight-idJPKBN1K61KM