vol.64 岡崎中部道院 道院長 加藤利彦

2019/05/01

岡崎中部道院 道院長 加藤利彦

1979年12月16日生まれ
愛知県出身
最終学歴 愛知産業大学造形学部建築学科卒
拳歴 32年 
小学1年生で入門、高校卒業後 日本少林寺武道専門学校師範科(当時)で2年間、高等師範科で1年間学ぶ

岡崎中部道院 道院長 加藤利彦

幼少より身近な存在

私の父は、道院長として、2つの道院を運営していたため、生まれたころから少林寺拳法は非常に身近な存在でした。そして、私が28歳の時、父が運営している道院の一つを引き継ぐことになりました。当時、道院内には、高段者の先輩拳士も多数在籍されていたので、「私に道院長が務まるのだろうか」と悩みましたが、子供のころからどんなに忙しくても道院にいく父の姿を見ていたことと、父からよく聞いた「継続は力なり」という法話を思い出し、“やるなら今しかない”と奮起し道院長を交代する決意をしました。

私は、地元の高校を卒業した後に日本少林寺武道専門学校(当時)に入学し、そこで多くの先生方から学んだことや、共に学んだ仲間が全国各地で活躍していること。また、地元の武専愛知地区でお手伝いをさせていただいていたため、道院長のやりがいも肌で感じていたことも道院長になる後押しになりました。

まずは挨拶がしっかりできるように

道院では、挨拶がしっかりできるように指導しています。

挨拶は、人と人によって交わされる行為であり、人間関係の基本となるものですので、ひとり言のようにつぶやいたり、下を向いて挨拶している子がいれば何度もやり直しをさせることもあります。このように、当たり前のことではあるのですが、挨拶がしっかりできることをまず教えています。

また、人への挨拶だけでなく、道場に対しての挨拶もしっかりできるように教えています。これは、私が道院長を交代して4回修練場所を変更していることにも関係しています。修練場所を変更せざるを得なくなった度に、幹部拳士をはじめ保護者の方々が色々探し回ってくださいました。そのご助力を拳士に知ってもらうとともに、感謝の気持ちを忘れてほしくないこともあり、道場に対する挨拶も徹底するように指導しています。

道院での指導については、元気いっぱい修練することが大切だと考えています。私自身、道院長になってからも拳士達と一緒に基本からめいっぱい修練し、汗をかくように努めています。

道院長は、指導者する立場ではありますが、まずは修行者であるということを忘れないためにも、日頃の修練に積極的に取り組み、各種大会にも参加しています。また、教区や県連、武専での修練や指導など、できる範囲で協力しています。

自然と協力者が現れる

仕事は自営業(建築関係)ですので、修練日は時間を作れるよう、仕事を他の日に振るなど工夫をしています。取引関係の方などには道院長をやっていることを伝え、できる限り理解していただくよう努めています。

道院長を始めた頃は仕事の調整もなかなか難しかったのですが「とにかく一生懸命やりきるしかない!」と思い続け、実行しているうちにだんだんと周りも理解してくれるようになってきました。

しかし、どうしても修練に遅れてしまう時は父や、幹部拳士の方にお願いして道場に行ってもらうこともありますが、自分の時間の使い方の工夫によってほとんどのことは、できるようになるものだと実感しています。

また、道院長でしか得ることができないことも多いと最近は、感じています。

前述しましたが、一生懸命やっていると自然と周りの人が協力してくれたり、助けてくれたりするものです。妻や子供たちも道院長という立場を理解し修練日は何かと協力してくれています。家族だけでなく、本当に困っているときに協力してもらえることのありがたさをしみじみ感じることが多くなりました。

この経験を通して、「私自身も誰かの為に協力しよう」と考え、実践することが年々増えるようになってきました。

今後も自身が修行者であるということを忘れず、拳士とともに成長できるように精進し、父から学んだ“継続は力なり”の教えを実践していきたいと考えています。