vol.64 日本の教育と文化の中から学ぶこと

2019/05/01

戦争のない平和な時代「平成」が終わり、「令和」の時代が始まりました。

  この時代を生きる私たちは、どんな生き方を選択するのでしょう。

  92歳にして再びマレーシアの首相に返り咲いたマハティール氏は、マレーシアの将来のために、若者に“日本人に学ぶこと”を強調しています。日本の教育と文化の中から育っていた「責任感」「羞恥心」「向上心」というものを評価し学ぶことを、以前の第4代首相を務めた1981年から提唱していました。

  2003年に発刊された、そのマハティール首相の書『立ち上がれ日本人』は、地球の中で共に“アジア”に位置する国として、またそこにある文化とともに生きる人として、私たち日本人が忘れている大切なことを示されているように思います。

  考えてみれば、1947年に宗道臣によって創始された少林寺拳法も、敗戦により日本人としての自信と誇り、希望も何もかもなくした状況下に、「自己確立」「自他共楽」を掲げ、自分(自国)の幸せだけではなく、他人(ひと)の幸せも本気で考えられる、そんな人づくりをしたいという志の下に始まりました。

   手段が武道であるために、上手・下手、センスの有無やメダルの数など見える範囲に心が奪われることもあるでしょう。しかし、一人の人間としての行いに対する責任感と、失敗したときの羞恥心と、それを改め、やり直そう、変わろうとする向上心を養っていることを忘れてはなりません。

  「恥ずかしい!」と心底思えないということは、人としてとてももったいないことです。変わるチャンスも、もっとよくなるチャンスも放棄することですから。

ビジネス香川に掲載されました