vol.76 砥部大南道院 福岡健一道院長 

2021/05/01

砥部大南道院 道院長 福岡健一

生年月日 平成5年1月27日
拳歴
平成11年5月 高知介良道院入門
平成12年4月 砥部大南道院転籍
平成23年4月 愛媛大学少林寺拳法部入部
平成27年4月 伊予松前道院転籍
平成29年10月 砥部大南道院運営許可

砥部大南道院 道院長 福岡健一

自分が先頭に立って挑戦したい

先代の道院長が常々おっしゃっていたのは、「少林寺拳法の目的は自分を変えること」ということでした。その意思を引き継ぎ、自分が先頭に立って金剛禅運動を推進することに挑戦したいという気持ちから交代を決意しました。

私の場合は、先代が逝去されてからの交代であり、当時は大学生だったため、すぐ交代というわけではありませんでした。運よく地元の町役場に就職することができましたが、それから道院長心得になるまで約3年間かかり、その間、道院は休止していたので、ほぼゼロからのスタートでした。そのため、道院を再開した当初は、修練時に2、3人ということも珍しくなく、不安になることもありましたが、副道院長をはじめとした仲間や近隣の先生方の「そのうち増えるから、大丈夫」という何気ない言葉が励みになり、乗り越えることができました。

リーダーを育てる環境とは

 私は門信徒に対して、「いい選手になることでなく、リーダーになることが目的だ」と言っており、リーダーになるためには世話好きであることが必要だと思っています。そのため、日頃の修練では、“上の子”が“下の子”の面倒を見るような環境づくりに努めています。私の道院では少年部と一般の修練の時間帯は分けておらず、高校生拳士に小学生拳士の指導をお願いすることがあります。高校生拳士に指導をお願いするときは、「一緒に体を動かして教えて。あとは自由に」と言って、全面的に任せています。その高校生拳士の様子を見ると、自分の時間を費やすことを厭わずに、どうしたら良くなるかということを一生懸命考えて指導しています。そうしたことが習慣化し、社会でも実践できるようになってほしいと思います。そして、今教わっている“下の子”が“上の子”を尊敬し、「次は私の番だ」と思い、次の“下の子”の面倒を見るというような循環が生まれることを期待しています。また、私自身も高校生拳士から修練がしたいと言われたときは、通常の修練日でなくても専有道場を開放して修練に付き合うようにしています。

日頃の修練では得られない経験の大切さ

少林寺拳法は、単なる習い事ではありません。そのことを認識してもらうためには、門信徒だけでなく、その家族にも協力をいただき、一体となって活動することが大切だと考えています。その取り組みとして、多くの協力を得て、本山で行われる達磨祭での砥部焼の絵付けやみかんなど地元産品の出店を行っています。その中で、小学生は「ものを販売する」という普段では経験できないことに興味を示し、楽しみながらも、周りと連携しながら出店の準備をしたり、販売したりしてくれます。こうした日頃の修練では教えることのできない経験が自己形成や郷土愛の醸成に繋がり、それを門信徒の家族を含めた全員で共有することで、金剛禅運動(少林寺拳法)の良さを知ってもらうきっかけになると考えています。

道院長を目指す人へ

私自身は、“道院長になった”というよりも“道院長にしてもらった”という感が強いです。多くの人から「すごいね」と言われますが、あまり苦労せずにここまで来ました。最初は、一人でやらないといけないと思い込んでいましたが、地元愛媛県の先生方や仲間に恵まれ、道院長になるためのレールを敷いてもらいました。本気でやりたいと思ったら、周りが支えてくれるはずです。

私は、“道院長にしてもらった”道院長ですが、道院に集う子どもたちを「何としても変えるんだ」という使命感を持ち取り組んでいます。指導において、良くない叱り方だった時など落ち込むこともありますが、一緒に時間を過ごすことがとても楽しく、逆に勇気をもらっています。まだまだ駆け出しなので、多くの失敗や反省もありますが、子どもに負けないよう、私も“より良い自分”に変える努力をしていきたいと思います。