vol.80 阿南道院 片山光弘道院長 

2022/01/01

阿南道院 道院長 片山光弘 

生年月日:1967726日(54歳)

出身地:徳島県阿南市

最終学歴:徳島県立小松島高等学校

拳歴:19923月  阿南道院入門

   20032月  先代急逝により代務

   200310月 運営許可

   2021年7月  大導師補任

阿南道院 道院長 片山光弘 

・道院長になったきっかけ

私は、子どもの頃から抱いていた強さへの憧れと、武道がしたいとの思いから、社会人になって阿南道院に入門しました。また、偶然にも妻の父が先代道院長でしたが、初めから道院長になることを考えていたわけではありません。しかし、修行を続けるうちに、道院長にいつかなれればとは考えるようになりました。私が五段を取得した数ヶ月後、先代が76歳で急逝しました。当時私は36歳、仕事との両立が難しく、道院の廃止も考えました。しかし、「辞めてしまうことは簡単だが、道院を続けることで青少年の健全育成に少しでも貢献できるのではないか」と思い、道院の先輩や門下生に背中を押してもらい、続けることを決意しました。交代当時は、設立45年の歴史は大変な重荷でしたが、周りの道院長の先生や先輩方のご指導とご協力のお陰で、何とか活動を続けられています。周りの先生方に感謝しつつ、これから自分の色を出して行きたいと考えています。

・指導で大切にしていること

「挨拶」を大切にしています。「挨拶」の語源は、禅宗で問答を交わして相手の悟りの深浅を試すことを「一挨一拶」といい、その言葉に由来します。「挨」は「押し開く」「互いに心を開いて近づく」、「拶」は「迫る」「擦り寄る」ということであり、お互いの心を開いて、相手の心に近づいていくという意味になります。道場の中でも学校や社会でも「挨拶」は大事であり、仲間を大切にし、お互いが尊重し合い助け合い、共に少しずつでも進歩していけるようにと指導しています。大事なのは、挨拶プラスねぎらいの言葉、感謝の言葉、承認、ほめ言葉です。そして、相手の名前を呼んであげる。道場では、親しみを込めて名前を呼ぶように心がけています。特に少年拳士は自分の名前を呼ばれるとやる気が増すように感じます。

・拳士のふるさとであり、地域のコミュニティーとして

道院長になった頃、段々と拳士の数が減り、数名になったことがありました。当時、三兄弟が入門しており、その一人が、「僕らが卒業したら、阿南道院無くなるんかな……」とつぶやいたことがありました。その時に、彼らが社会人になり県外に行っても、阿南に帰ってきたら行く場所がある。阿南道院が彼らにとってのふるさとのような場所になれればと考え、たとえ拳士が一人になっても続けていこうと思いました。継続していると、小学生だった拳士たちが大人になり、結婚などの報告にやって来ることがあります。このような時は、本当に嬉しく、続けていてよかったと思います。

また、他の地方都市と同様、阿南市も高齢化が進んできているため、今後は、金剛禅運動を通じて地域の活性化や健康増進のお手伝いができればと考えています。地域のコミュニティーの場として阿南道院が地域の中心となり、そこから、青少年の健全育成、高齢者の見守り、支え合いなどをしていけたら……との夢を描いています。

・道院長を目指す全国の拳士へ

私は、つねづね「縁」を大事にしたいと考えています。願い行動し、なりたいという思いがあれば、そこに導かれ、必ず「縁」が繋がります。目指すものがあれば、漠然とでも、思い描くことだと思います。道院長になりたいと思わなければ、実現はしません。私が道院長になったのは、前にも触れた通り、先代の急逝によるものですが、いつかは道院長になりたいとも考えていました。道院長はいろいろと大変な部分もありますが、道院長になった「縁」で知り合った方や同じ志の仲間も増え、また拳士の成長を見ることができる、という楽しみもたくさんあります。いつかは指導者、道院長となって金剛禅を、少林寺拳法を共に盛り上げていきましょう。