vol.48 自分たち次第で明るい未来に

2017/01/01

あけましておめでとうございます。

いよいよ少林寺拳法創始70周年の年が明けました。

1947年、宗道臣(以下開祖)は少林寺拳法を創始しました。そのとき宗道臣は、当時の日本の状況だけではなく10年先、あるいは30年先をイメージして「(日本の社会を少林寺拳法による人づくりで)こうしたい」という志を持っていました。それは当時の宗道臣の講話からも窺われます。

宗道臣存命中の創始30周年では、30周年を喜びながらも、組織が大きくなり過ぎたこと、そして一見すると日本が豊かになったと見えることから、志と実態が伴わなくなっていることに悩んでもいました。冒頭にも言いましたように、宗道臣は、日本の将来をイメージして少林寺拳法を創始しました。しかし、組織が大きくなるにつれて、組織内の自分たちだけの活動が中心になっていたのです――。そして、宗道臣亡き後、私が跡を継いだのですが、創始40周年から60周年まで、常に「原点に帰ろう」ということを言ってきました。さらに、その「原点」の意味をここ10年、かなり切実に感じるようになっています。

今、この超少子高齢化の時代になって、ふと考えることがあります。高齢化対策や少子化に個人で歯止めをかけることはできないけれど、少林寺拳法で何らかの社会に貢献できることがあるのではないかと。創始70周年というのはお祝い事であると同時に、70年間いろいろな方々に理解され、多くの人に支えられてきた少林寺拳法が、その蓄えた人の力をいよいよ具体的に社会に示していく時ではないかと。

2016年は、1890年以降の統計で出生率が過去最低、前年の2015年より約2万人減の98万人という恐ろしい数字になっています。医療も進んで高齢化は進む一方、上戸の形(図参照)になっています。このままだと現代社会の私たち残したすべての課題やツケが、子供、孫の世代にのしかかります。

このままではムヒカ氏※が言った「高齢者が孤独である。若者は夢を持っていない」という日本のイメージそのままに、ますます加速する可能性があります。若い人たちが夢を持てるような社会を作るには、私たち大人がイキイキと健康にそして人の役に立って生きることです。そして今自分たちがよければいい、後のことは知らないではなく、30年先、40年先をイメージして今という社会を生き、そして創っていかなければならない――。創始70周年を迎えて、具体的にそして切実にそんな思いにとらわれています。

※「世界一貧しい大統領」として知られるウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領

これは将来が明るくないという訳ではありません。自分たち次第で明るい未来にできる、という意味です。この創始70周年を、言葉だけでなく、形にする年にしましょう。