vol.18 道院長の魔法のひと言
2011/09/01
「エイ!」「おお!大した声が出るじゃないか」、「ヤー!」「声もええが、動きもええぞ!」。不登校傾向の小中学生を受け入れている宇和島市こども支援教室に、濱田宏行宇和島道院道院長の少林寺拳法が月例教室メニューに加わっている。
この教室の常連として参加している中学生のA君。立派な体格をしているが、運動はどちらかというと苦手、また、人前で話したり、自分の気持ちを表したりすることもやや不得手でもある。最初は自分を持て余し気味で、少林寺拳法の基礎的な動きはおろか、筋トレの段階で小休止を要するといった調子であった。いつもなら、彼はここでリタイアしていたのかもしれないが……。
道院長の魔法はここから始まる。
授業はいつも「説法」で始まる。説法を真剣に聞くA君を見て、「おお、その目はなかなか見込みがあるぞ!」。次に、予想以上の腹筋運動の回数をこなした姿に、「おお、やるやないか。普通やったらその回数は無理ぞ!」。基本技をこなした後には、「覚えが早い、これからが楽しみじゃ!」などなど。
大きな声がなかなか出なかったA君が、冒頭のように変わりつつあるのは濱田道院長の魔法のひと言、言いかえれば愛のひと言、その繰り返しのお陰と、心から感謝するばかりである。後日、A君の母親から、「ある晩、自宅でA男がそっと筋トレしていたんですよ」と聞きました。
(教育相談員 永井忠蔵)
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