■2016年03月16日
集まることで生まれる連帯感 少林寺拳法グループ総裁 宗由貴 |
2月27日、沖縄女性拳士交流会が開催された。
「女性のための女性による会」、そう聞くと少林寺拳法をご存知ない多くの方は、全国のかっこよくも勇ましい女性たちが、強さや美しさを競い合うといったイメージをお持ちではないかと思う。
しかし、そこでの光景はまるっきり違った。
そもそも少林寺拳法は「人が集まることが楽しく」、「刺激し合うことが嬉しく」、「技を学び合うことが喜び」の団体なのである。そして競技を目的としないのが特長で、それは創始者・宗道臣が少林寺拳法をはじめたときから変わらない。
特に少林寺拳法の女性拳士はしなやかで明るく前向きな人が多く、とても気持ちがよい。そんな女性の指導者有志が「創始者の志を見つめ直し、少林寺拳法の可能性を探り、女性拳士のつながりを深める……そんな会をやりたい」と夢を語り、全国の女性拳士に呼びかけ、それに賛同した女性拳士が沖縄の地に集った。
私は少林寺拳法の責任者として多くの大会に招かれさまざまな少林寺拳法の催事を目にしてきたが、今回の交流会ではこれまで見たことのない演目が光っていた。
まずは「参加者発表」である。寸劇、護身術、講演、体験…発表スタイルはさまざまであるが、一環してこれからの時代にマッチするような、宗門の行としての少林寺拳法の教えと技法の発表であった。少林寺拳法には道院、支部、健康プログラム、さまざまなスタイルの学びの場がある。どの発表もそれぞれの学びの場の範囲を超えて何か新たなものを作り上げる雰囲気があった。また、そこには「義務感」だとか「ルール」はなく、それでいて好みを押し付けるのでもなく、「楽しさ」や「連帯感による幸福」といった先のイメージまで想像できるような構成だったと感じた。
続く「基本演錬 参加者全員で心をひとつに!」では少林寺拳法修練方法の実演。参加者のほとんどが初対面だというのに、全員が初めて会ったとは思えないくらいすぐに打ち解け、互いに刺激し会い学び合っていた。
最後の「創作演武発表」。なんと参加者は事前にチーム分けされ、あらかじめ「沖縄エイサー」(本土の盆踊りにあたる沖縄の伝統芸能のひとつ。各地域の青年会がそれぞれの型を持ち、旧盆の夜に地域内を踊りながら練り歩く)の曲パートごとに参加者たちに割り振り、それにあわせ一人ひとりが演武を創作し持ち寄り、それらの演武を繋ぎ合わせ、一つの演武として完成させた。そして最後にみんなが踊る……。
少林寺拳法そのものの楽しさと技のおもしろさを織り交ぜて楽しく人に見せることで、たくさんの人が巻き込まれていく。最後は私も来賓の方々もそんな輪に加わり楽しい時間を過ごすことができた。
ちなみに女性拳士参加者の同行として男性拳士1名の参加は可能であり、男性も参加していたが、彼らはあくまで主役の女性拳士を見守る立場で会に自然に溶け込み、縁の下の力持ちとして必要に応じて支えていた。
とても嬉しかったことは、参加した全員のイキイキとした姿を目の当たりにしたことである。さらに嬉しかったことは、来賓として招かれた地元の後援者から「あぁ、楽しかった!」「この交流会、もっと少林寺拳法を知らない一般の人が観られる所でやってほしい」という声が聞かれたことである。
この企画の実行隊長・佐竹令子さん(愛知・小坂井道院道院長)は交流会のポリシーをこう話していた。「志のある拳士が集まり、自らの活動や思いを発表する場をつくる。少林寺拳法の今後の可能性を探り、女性拳士の繋がりを深め、同志が協力しあい、連携していけるきっかけを作りたい」とのことであった。
次回は北海道での開催が決まっている。今回の交流会の雰囲気や志のまま、全国、次世代にもっとこの輪が広がってほしいと思っている。