2018年8月24日~8月31日の日程で、日本全国より集まった大学生拳士45名・高校生拳士34名と三浦信行団長・宗由貴顧問・米田敬智副団長・宗昂馬秘書長・引率教員・スタッフ15名の総勢94名が参加しました。
少林寺拳法グループの学生を対象とした訪中団派遣は3年連続となり、中国駐日大使館からご招待を頂き、中日友好協会による現地受け入れの協力を得て実現しました。
2016年高校生訪中団・2017年大学生訪中団が、共に好評であったことを受けて、今回は、高校生・大学生の混成の団体として、北京・鄭州・登封の各都市を巡り、中国の若者との友好交流と伝統文化・現代中国の社会見学を行いました。
◆友好交流は人と人のつながりよりはじまる
中国への出発前日には、東京にて事前学習会・結団式が行われ、宗由貴顧問より、「近年多くの中国人観光客が、日本に対して、よい印象を本国に持ち帰っている。一方、外交関係の改善の兆しがあるとはいえ、反日感情、環境汚染などマイナスイメージのみが強調されるメディアの偏向報道の影響からか、中国への日本人渡航者数は激減の状況が続いている。こうした中、ありのままの中国の社会と人々の様子が伝わらない、知られないことが相互理解促進を妨げる要因の一つになっている」と挨拶がありました。また、父である少林寺拳法創始者・宗道臣とともに10代で初めて中国を訪問した経験を振り返り、「自分の感性でありのままの中国を感じてほしい。感性豊かな年代に、異文化に触れる経験をすることは、今後の人生にとっての貴重な財産になる」と語り、若者同士の交流に期待を寄せました。
そして、三浦信行団長は、自身が二十数年前に中国に初めて訪れた時を回顧し、「論より証拠。直接肌で感じて経験することが何よりも大切。同世代間の交流で、互いに隣国の文化・価値観を認め、理解し合うことは、少林寺拳法の理念に通ずるところであり、若さと鋭い感性を持って、有意義な旅にしてほしい」と語りました。そして、「創始者・宗道臣の『世界平和の実現には、まず隣国中国との友好協力関係が大切だ』という思いが原点となり、今日の日中交流事業がある。団長として、学生とともに参加できること嬉しく思う」と、率直な思いを述べられました。
◆中国での主なスケジュール
前日 東京にて事前学習会、結団式
初日 北京空港到着、王府井見学、伝統文化体験(雑技鑑賞)
2日目 中国高速鉄道で北京より河南省鄭州へ移動、歴史文化体験(河南博物院見学)
3日目 鄭州市の大学生・高校生と交流、宗道臣文庫見学、登封へ移動、禅宗少林音楽大典鑑賞
4日目 嵩山少林寺境内施設見学(白衣殿、千仏殿、宗道臣帰山記念碑、※鼓楼)、高速鉄道にて北京へ
5日目 北京大学内見学、日中平和友好条約締結40周年記念「中日大学生千人交流大会」、中日友好協会主催の交流パーティー(中日青年友好交流の夜)に参加
6日目 万里の長城見学、現地企業・先端技術見学
(中関村東昇科技園)、解団式
7日目 羽田空港へ帰国
※鼓楼…少林寺拳法グループから日本全国の拳士に募った浄財を嵩山少林寺に寄付して再建され、1997年に落成した。
◆ 本事業のメインとなる未来を担う学生間の友好交流
①鄭州市での交流
3日目となる鄭州市訪問では、大学生、高校生がそれぞれ分かれ、同年代同士が交流しました。
鄭州中学(※日本の高校に相当する)を訪れた高校生一行は、書道の体験や英語でのディスカッションを行い、「将来の夢・日常の興味関心」について話し合い、異文化への理解を高めました。
大学生一行は、鄭州大学日本語学科の学生たちと交流し、日本語や筆談などを駆使しながら、「日本の中の中国文化、中国の中の日本文化」などをテーマにし、「食文化やアニメ、音楽などの日本のサブカルチャー」を話題に盛り上がり、互いを身近に感じることができました。
また、大学生・高校生団員が合流してから、鄭州大学外国語学部のアジア太平洋研究センターに設置されている“宗道臣文庫”(少林寺拳法グループ寄贈による日本語図書3万冊以上を所蔵し、学生の日本語の学習に役立てられている)を見学しました。
②北京大学での交流
5日目の北京大学では、同大学学生の案内で、生物・歴史博物館などキャンパス内を見学し、学食にて一緒に昼食をとりました。
その後、日中双方の大学生1,000人が一堂に会する記念式典に参加し、団員74名は、オープニングを飾る少林寺拳法の演武を披露し、会場を盛り上げました。主要出席者として、陳宝生中国教育部部長、程永華駐日本中国大使や、日本からも林芳正文部科学大臣が出席され、祝辞を述べられました。そして、中日友好協会主催の交流パーティーでは、日本中国合わせて約500人が参加し、双方の余興やサプライズのバースデーケーキが用意され、フィナーレとして、宗由貴顧問を筆頭にした当訪中団の阿波踊りで、会場は熱狂的な盛り上がりを見せました。
◆日常風景から感じる異文化中国
今回の訪中では、随所に中国を身近に感じることができるポイントがたくさんありました。
空港や高速鉄道、バスの移動に際しては、現地の駅や路上にあふれる現代中国のありのままの姿を見聞することができました。例えば、喧騒の北京南駅の待合所(※中国では、安全対策として、ホーム上で待たず、待合所にて待機する)、バスの車窓から見える路上には、大量のレンタサイクルや、ほぼエンジン音のしない電気自転車など、日本では見かけることの少ない光景がありました。その一方で、ホンダ、トヨタといった日本製の車も多く走っていました。
◆学生の感想
「近代的な高層ビルがたくさんあり、東京と変わらず都会だった。一方で、路地裏に入ると低くて古い建物が並び、新旧が混在していておもしろかった」
「テレビ・ニュースで見ている中国のイメージとは全然違っていて、今回の旅を通してよい印象を持つことができたので、家族や友人にそのことを伝えていきたい」
「你好! 謝々!」と言うと、笑顔で返してくれる。とても友好的で親切な人が多かった」
「中国の人たちは、日本人に比べて、他人の目を気にせず、自信を持ち、とてもエネルギッシュ。だからこそ、広大な中国が成り立っているのだろうなと思った」
「万里の長城が、想像以上に急で過酷だった」「中国の中華料理、とてもおいしかった。日本と比べ、味付けが違っていて、チャーハンの味は薄め。炒め物などの甘い・辛いなどの味付けは濃かった」
「もっと、英語、中国語を勉強しておけばよかった。これから語学を勉強して、交流できるようにしたい。中国の学生は、英語がとても上手で、とてもよい刺激を受けた」
「トイレに紙が置いてないところや、紙を流してはいけないところもあることに衝撃を受けた」
「全国から集まった高校生・大学生同士、一週間の旅で非常に仲よくなれた」
「雑技団で見たショー、嵩山少林寺で見た演武、真似できないクオリティー、鳥肌が立つほど感動した。幼いときから厳しい訓練をしていると聞き、実際に小さな子が訓練していた」
「日本のアニメ・ドラマ・アイドルなどは、想像以上に人気だった。隣国ということもあり、似ている文化や生活がたくさんあった。そんな意見交換する場がとても楽しかった」
「中国人学生の方と個人レベルでの交流を通して、中国という国単位で抱いていたイメージが覆され、中国が好きになった。とても充実した訪中だったので、後輩に来年訪中団があれば参加するように勧めたい」
●交流の成果
訪中団に参加した学生らは、直接の人間同士のつながりによって、隣国の文化や国民性について、実感の伴う交流を経験しました。その結果、中国に対するイメージが、行く以前と比べ、ポジティブなものへと大きく変化し、帰国後この事実を周囲に語りたいと述べました。
また1週間の海外生活という緊張感もある中で、少林寺拳法の仲間と生活を共にし、高校・大学の枠を超えて連帯感を深めました。健康、生活面共に各自が意識して、メリハリを大切にした結果、主体的な行動がなされ、大きな傷病が発生することもありませんでした。
国を飛び出し、非日常的で、未体験の見聞を広めたことによって、学生らは、充実した思い出と未来につながる自信を得ることができたのではないでしょうか。日本と中国、隣国同士の友好交流から世界平和へとつながる創始者の願いを引き継ぐべく、今後の学生らの活躍に大きな期待をしたいと思います。
事前学習会①
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事前学習会②
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事前学習会③
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事前学習会④
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嵩山少林寺 山門前
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嵩山少林寺 山門前集合写真
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嵩山少林寺鼓楼
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嵩山少林寺 白衣殿
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嵩山少林寺武僧 演武
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嵩山少林寺武僧 記念撮影
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中日青年友好交流の夜 乾杯挨拶 総裁
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中日青年友好交流の夜フィナーレ 阿波踊り
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中日青年友好交流の夜フィナーレ 阿波踊り
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中日大学生千人交流大会 演武披露
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中日大学生千人交流大会 演武披露
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鄭州 高校生交流 書道
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鄭州高校生交流
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鄭州高校生交流
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鄭州大学 宗道臣文庫見学
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鄭州大学 集合写真
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鄭州大学交流
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北京大学 生物博物館見学
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北京大学 学食
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北京大学交流 キャンパス見学
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北京大学 集合写真
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北京到着後 最初の夕食
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万里の長城
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